5つのイネーブラー(実現要因)に関する全体会合

7回アジア太平洋適応ネットワーク(APAN)フォーラムは、202138日から12にかけて、「すべての人が気候変動に適応していくための重要な10年」というテーマでオンライン開催されます。APANフォーラムは10年以上にわたって、適応実践者が経験を共有し、知識を深め、ネットワークを形成する貴重な交流の場を提供してきました。

今回の統一テーマは「レジリエンス(強靭性)」です。本フォーラムでは、レジリエンスを強化し、気候変動の悪影響に耐えられる包摂的でレジリエントな社会や、経済セクターのレジリエンス、自然を基盤にしたレジリエンス、コミュニティと地域のレジリエンスを実現するための 5つのイネーブラー(実現要因)として、(i) 政策と気候ガバナンス(ii) 計画とプロセス(iii) 科学と評価(iv) 技術と実践(v) ファイナンスと投資に焦点を当ててディスカッションします。

7APANフォーラムでは、1日に1つのイネーブラーを取り上げて集中的に議論します。全体会合でその日のイネーブラーが紹介され、より深い理解を促すために、著名な専門家たちが以下の重要な課題を提起します。a)社会、経済セクター、自然、コミュニティが、気候変動の悪影響に耐えるためのレジリエンスを構築するにあたり、各イネーブラーが現状どのような支援を行っているか、b) トレードオフ(二律背反)が生じうるケースとその軽減・防止策、c) すべての人がレジリエンスを身に付けるための優良事例と実践をスケールアップする方法。

各セッションでは、5つのイネーブラーの相関関係や、どうすればレジリエンスが総合的に強化されるかを検討します。各イネーブラーは1つまたは複数の分野のレジリエンス構築を支援する一方で、それ以外の分野でトレードオフを生み出すおそれがあります。例えば、国の気候変動政策とガバナンスは特定の経済セクター(例:農業)のレジリエンス構築を大きくサポートしますが、別のセクターやコミュニティのレジリエンスを弱めてしまう可能性があります。同様に、あるグループやコミュニティは、現行の計画プロセスや気候変動リスク分析では気候面での根拠が弱いとみなされ、気候ファイナンスを利用できない場合があります。従って、イネーブラーの相関関係を包括的にマッピングし理解した上で、他の分野に悪影響を与えずにレジリエンス構築を支援する方法を考えることが極めて重要です。

分科会では、(i) 包摂的なレジリエンス(ii) 自然を基盤にしたレジリエンス(iii) 経済セクターのレジリエンス(iv) コミュニティと地域のレジリエンスという 4つのテーマ別ストリーム(主題)に焦点を当てながら、参加者同士の対話と交流を通して様々な視点から各テーマを大局的に検証します。